あらすじ
世界大戦によってほとんどの人類が滅びた後、自動工場だけが生産を続ける世界では消費と生産のバランスが崩壊し、自動工場による生産によって水質汚染や空気汚染などの公害が引き起こされている世界が舞台です。
主人公であるエミリーは自動工場での生産を中止するように、工場のAIロボットと対話を試みますが、却下されてしまいます。そこで、工場を破壊するためにAIロボットを脅迫して乗り込み、衝撃の真実が…..
ネタバレ-AIは人になれるか-
本作に出てくるAIは、人の脳を模倣して作られたAIでした。脳の記憶をデータ化するというのは、SFではよくある話ですが、神経の回路やパルスまで模倣できた時、そのAIの思考は単なる論理演算の結果として扱っていいのでしょうか。もし、人が同じ思考過程で思考結果を出した時、人を人たらしめているものはなにになるのか考えさせられました。
哲学者のパスカルは「人は考える葦である」と、人の持つ思考の偉大さと尊厳について説きました。つまり、思考こそが人を人たらしめていると言っても過言ではないでしょう。思考が神経の電気活動として模倣できるようになった暁には、エミリーのようにAIも一種の人類であると考える日が来るかもしれれません。