ちょっとした暇時間におすすめの一話完結
ドラマでもアニメでも1シーズンを通してやめ時が分からないということが多々あり、徹夜で観てしまって翌日フラフラということは誰しも経験があると思います。また、映画は一話完結であるものの、2時間確保する必要があり、映画を楽しむ時間をしっかりと準備しなくてはなりません。一方で、この『エレクトリック・ドリームズ』は一話完結型であり、どのストーリーも50分ほどの長さなので、ちょっとした暇時間に観ることができ、またしっかりオチがついているためにスパッと一話でやめることができます。
胡蝶の夢と真生活
とても有名な物語に「胡蝶の夢」があります。これは、荘周が蝶になって自由に楽しく飛びまわる夢を見て、目覚めた時にこれは夢から目覚めたのではなく、蝶である自分が夢を見ているのではないかと考えるお話です。この「真生活」ではまさに現代版の胡蝶の夢と言ってもさしつかえないかもしれません。同僚を喪いながらも愛する妻と順風満帆の生活を送るサラと巨万の富を得ながらも愛する妻を喪ったジョージ。サラとジョージ果たしてどちらが蝶の夢を見ているのか。。。いろいろな物語に焼き直されながらも語られる夢と現の物語をぜひ一度観てみてください。
ネタバレ-夢か現か幻か-
サラがマフィアと戦って気絶させられた時にジョージに入れ替わります。一方でジョージはマシーンを用いてしかサラに戻ることができず、そのことについて作中でも指摘されています。つまり、マシーンを介したサラである現とジョージである夢との行き来の他に、サラがジョージになったという気絶による別経路での入れ替わり、「幻」を挟むことで、この物語を最後までどちらが現でどちらが夢か判断できないようになっているのが面白いと感じました。
ネタバレ-納得感のある人生-
なぜサラは愛する人を喪ったジョージの人生を選んだのでしょうか。それは、サラの妻が指摘するように、自分の人生はできすぎている、こんな生活を送って良いわけがないという自罰的な感情によって愛する人を喪った世界を作り出しますが、そこには自分ふさわしいしっくり感、納得感があったのだと思います。「自分はこの程度の人間じゃない、もっとふさわしい人生があるはずだ」というような上向きの納得感のなさを目にすることは頻繁にありますが、もしかすると下向きの納得感のなさを感じている人たちもいるのかもしれませんね。
おまけ-未来の生活-
真生活の随所に出てくるデバイス、例えば棒状のデバイスから空間にディスプレイが飛び出す携帯電話やハンバーガーショップでの精算のためにでてくる支払い装置、音声による入力が可能な完全自動運転カーなど、こんな未来が来てほしいという理想を形にしたようなデバイスたちに心躍りました。
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